交通事故により脳に損傷を負い、人間らしい行動(目的に沿った行動をしたり、感情をコントロールすることなど)が困難な状態を高次脳機能障害といいます。後遺症の例としては記憶障害や社会的な行動ができないなどの認知障害があります。
具体的には「意思疎通ができるか」「問題などを手順通りに解決できるか」「ある作業を集中して行えるか」「社会的に最低限の感情のコントロールができるか」で判断します。
また、自賠責においては、就労が出来る状況であるかがひとつの着目点であるようです。
高次機能障害の検査は、交通事故に詳しい弁護士と医師に適宜相談しながら必要な検査を漏れなく受けておくことが適正な高次脳機能障害の等級を得られる第一歩です。
知覚テストや遂行機能検査などが等級判断の基準になります。
自賠責では高次脳機能障害の程度以下の後遺障害等級で区分しています。
1級1号 | 生活維持のために常時介護を必要とする |
2級2号 | 主に生活範囲が自宅で、生命維持のために家族の看護を必要とする |
3級3号 | 記憶力、注意力などの障害のため、全く就労ができない状態 |
5級2号 | 単純な作業なら就労可能だが、職場の介助等を必要とする |
7級4号 | 就労は可能であるが、一般人と同等の作業が困難 |
9級10号 | 一般的な就労の維持は可能だが、作業の効率等に問題がある |
労災での等級の認定は、自賠責とは違いますが、上記の観点に(意思疎通能力)(問題解決能力)(持続力)(社会的な行動能力)の喪失等も判断材料になります。
高次脳機能障害は、多少接しただけではわからない場合もあり、交通事故の中でも専門性の高いものになります。被害者だけでなく家族や近親者の精神的、肉体的、また経済的な負担も決して少なくはありません。将来介護の費用を損害として認めてもらうために、専門家に依頼し、適正な等級を得ることが最大の目的となります。